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【参加報告】シドニー・マルディグラプライドに参加しました

#Tokyo Pride
Gender Free JapaneseのAyakaさん photo credit: くにさん

こんにちは。東京レインボープライド(TRP)共同代表理事の佐藤ユウコです。

先日2026年2月28日に、オーストラリア・シドニーで開催された「Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras」に参加をしてきました。
本記事では、現地のプライドの運営体制や街との関係性、そして東京や日本のプライドにとって参考になると感じた点についてご紹介します。

取材に協力していただいた現地ボランティアSantoshさんと佐藤

歴史とコミュニティから生まれたプライド

今回は、世界的に知られるプライドイベントの運営や都市との連携のあり方を学ぶことを目的として渡豪しました。

Sydney Gay and Lesbian Mardi Grasは、LGBTQIA+コミュニティによって運営されている非営利団体が主催しており、パレードやフェスティバルにとどまらず、年間を通じて多様なコミュニティ活動をしています。その起源は1978年に遡り、当時まだ同性愛が違法とされていた中で行われた抗議活動にあります。警察の介入により53人が逮捕される事件となりましたが、この出来事はオーストラリアのLGBTQ権利運動の転機となりました。

こうした歴史的背景の上に築かれたプライドから、コミュニティ主導の運営と社会との関係の築き方を学ぶことは、TRPにとっても重要な機会でした。

Oxford Streetは、オーストラリアのクィア解放運動の歴史的場所。パレードの中心地。道路はプライドフラッグ色に装飾されていた。

規模と構造が生み出す「祝祭」の力

現地で特に印象的だったのは、パレードの規模と、それを支える運営体制の整備です。

2026年のパレードでは、174のフロートと約9,000人の参加者が行進し、沿道には約10万人の観客が集まりました。パレードは、先住民コミュニティによる「Welcome to Country」とスモーキング・セレモニーから始まり、その土地の歴史と文化への敬意を示す形で幕を開けます。オーストラリアでは多くの公式行事が先住民コミュニティによる歓迎の儀式から始まりますが、Sydney Gay and Lesbian Mardi Grasでは、先住民コミュニティとの対話を経て、レズビアンのバイクグループ「Dykes on Bikes」が先頭を走り、その後にFirst Nationsのフロートが続く構成となっています。これは、バイクの音が邪気を払うという文化的な意味合いも踏まえたものだそうです。

スモーキング・セレモニーを行う先住民リーダーたち

このパレードは 約1,000人のボランティアによって支えられているそうです。ボランティアにはオンラインでのトレーニング受講が義務付けられており、参加者への対応方法、アクセシビリティへの配慮、緊急時の行動や避難方法などが事前に共有されています。ボランティアの中はDifferently Abled(ディファレントリー・エイブルド:心身の能力が異なる)様々な人が参加しており、それぞれの状況に応じた役割が設計されています。例えば、長時間立つことが難しい場合は、無線通信の情報をモニタリング・記録するデータセンター業務を担当するなど、参加の形が柔軟に設計されていました。パレード待機場所もスタート地点隣の有名な観光地Hyde Parkの一部が貸し切られ、その中にトイレやフードトラックがあるなど、参加するコミュニティメンバーが楽しめる空間整備も整っていたことも印象的でした。

パレード待機場所の様子 photo credit: くにさん

パレードを歩く人々もただ歩くだけでなく、揃いのコスチュームで音楽に乗ってダンスをしたり、沿道を楽しませる工夫をしていました。現地で活動する日本人コミュニティのGender Free Japaneseのフロートでは、沖縄のエイサーを演奏しながら歩いていました。 ニュースでもパレードの様子が生配信されるなど、社会全体がプライドパレードを表現の場として楽しんでいる様子が伺えました。 最後はボランティアと運営メンバーが歩いて終了となりました。19時半から23時頃までのパレードですが、市の全面協力もあり、24時には路上の全てが撤収されていました。

パレード最後を歩くボランティアと運営メンバー。この後すぐ市の職員たちが歩道の柵の撤去と清掃を開始。

市が支えるプライド 歴史を祝う社会全体の理解

東京のプライドと比較すると、市とイベントの関係性の強さに明確な違いを感じました。Sydney Gay and Lesbian Mardi Grasでは、シドニー市がイベント運営に全面的に協力しており、公道の使用や警備、交通管理などが行政と連携した形で実施されています。そのため、街全体がイベントを支える体制が整っており、大規模なパレードが実現しています。

パレード開始前、公道を閉鎖し交通整備をする現地の警察官
パレードに参加するNSW州政府運輸資産管理局(シドニー地下鉄)の職員たち

一方、日本では私たち、東京レインボープライドという民間の非営利団体がイベントを運営しており、行政からの運営にあたっての全面的な支援体制があるわけではありません。そのため実施できる規模や街の関わり方には違いがあります。 また、シドニーでは市民全体がこのイベントを認知しており、LGBTQ+の人々が社会の中に自然に存在していること、そしてその歴史を祝う日であるという理解が広く共有されているように感じました。日本では理解や関心がコミュニティ内だけや企業の取り組みにとどまる場面も多く、社会全体での認知という点ではまだ発展途上にあると感じました。

プライドカラーに染まる高層ビル

コミュニティを中心に設計された仕組み

Sydney Gay and Lesbian Mardi Grasは、1978年の抗議活動という歴史を基盤にしながら、文化、政治、観光などさまざまな要素が重なり合う都市イベントへと発展しています。

1978年の抗議活動に参加していた当事者とその家族のフロート

 パレードには、難民支援やトランスの権利保護に取り組むNGO、移民コミュニティの団体、警察や消防などの公共機関、行政関連の団体が多く参加していました。こういった団体にも当事者やアライがいること、そして参加者がプライドコミュニティを支援をしていることに誇りを感じていることが伝わってきました。

NSW州委員会のフロート

パレード参加費も行政、企業、コミュニティ団体で異なる価格設定がされており、企業が直接参加するだけでなく、コミュニティ団体の参加を支援する形が見られました。こうした構造から、プライドがコミュニティの声を中心に据えて設計されていることが感じられました。

消防局のフロート

Tokyo Prideに向けて

コミュニティを中心としたパレードが実現している背景には、シドニー市=行政による全面的な協力があり、警備や会場設営などイベント運営に必要な基盤が行政によって支えられていることも大きいと感じました。Tokyo Prideにおいても、行政や企業、社会全体との連携を広げながら、よりコミュニティ主体のパレードを実現できる環境づくりを進めていきたいと考えています。

パレードを楽しむ参加者たち photo credit: くにさん

開催地:オーストラリア、シドニー

協力:Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras 現地ボランティアの皆様、Santosh(サントシュ)さん

執筆者:共同代表理事 佐藤ユウコ

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