特集

<11/25放送>ゲスト:竹田ダニエル(アメリカ在住のライター)/ 田中俊之(「男性学」を研究の社会学者)

#Find Your Colors

InterfmとTOKYO RAINBOW PRIDEがタッグを組み、ダイバーシティ、多様性のある社会が叫ばれる中で、毎回取り上げる様々なトピックスやゲストの方との会話を通し、まだまだ残る、様々な問題を可視化し、本当の意味での多様性と、愛のある社会を目指していく番組「Find Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDE」。

11/25(土)のゲストは、アメリカ在住のライター竹田ダニエルさん 、後半は、「男性学」を研究されている社会学者の田中俊之さんです。

レインボートピックス

世界中から集めた最新のニュースから、話題のイベント、映画、音楽、お店など、多様性のある社会に気づける、理解を深められる、参加できる、そんな様々なトピックスを取り上げて、紹介する「RAINBOW TOPICS」。

アメリカ在住のライター、竹田ダニエルさんをお迎えして発売中の著書「Z世代的価値観」について、さらに、ミーガン・ジー・スタリオンの「Hot Girl Summer」という曲から生まれたムーブメントについて伺いました。

①「#Z世代的価値観」について

元々文芸誌「群青」で連載されていた内容をまとめたもの。第10回ほどまでは、「世界と私のA toZ」でまとめられており、その続きが「#Z世代的価値観」になっている。2022年の秋頃から今年の中旬あたりまでのアメリカのZ世代の間でどういうことがはやっているのか、どういうことが話題になっているのか、社会とアイデンティティの観点から掘り下げた内容になっている。
具体的には、日本のZ世代とアメリカで定義されているZ世代の違いから始まり、音楽、ファッション、インターネットのブームなどについて書かれている。

お話しの中では、日本とアメリカのZ世代の違いを紹介。
日本は若者の数が減っている中でどうやって声を聞いてもらうか、変化を起こしていくかが課題とされていることに対して、アメリカでは、日本と比較してZ世代の人口も多く、ジェンダーなどのアイデンティティ自体が多様化しており、彼らの価値観が社会に影響しやすいという違いを教えていただきました。

②「Hot Girl Summer」から生まれたムーブメントについて

2019年にラッパーのミーガン・ジー・スタリオンがリリースした曲に基づいている。「Hot Girl Summer」は、どんな見た目であれ、どんなジェンダーであれ、自分に自信を持って人生を謳歌しようというようなバイブスの曲。
2019年にこの曲がリリースされたタイミングに、パンデミックが起きたことで、この曲のような夏を楽しむことができなかった。そして、2021年頃にワクチンが普及し始め、外で遊べるような環境が帰ってきたことで、この「Hot Girl Summer」がもう一度ミームとして復活した。

このムーブメントの経緯は「#Z世代的価値観」の中にも書かれており、竹田さんはお話の中で、Hot Girlのムーブメントと日本のギャルを繋げ、アメリカと日本の文化を比較しながらお話ししてくださいました。

THINK ABOUT THE FUTURE

様々な価値観を共有し、よりよい社会の方向性を模索していくゲストコーナー、「THINK ABOUT THE FUTURE」。
今週のゲストは、「男性学」を研究されている社会学者の田中俊之さんをお迎えし、「男性学」の代表的なテーマ「働きすぎ」「結婚難」「平日昼間問題」などについて伺いました。この記事では、男性の自覚していない生きづらさについてのお話を抜粋しました。

男性の自覚していない生きづらさ

ブルボンヌ : 働くみたいな話で言うと、力仕事は男のものだとか、デートでは男性の方がお金を出す。これずーっと、定期的にもめるじゃないですか。

田中さん : あー、もめますね。

ブルボンヌ : そういうのも全部「男とは」みたいのがつながってきますよね。

田中さん : そうですね、その最初の力仕事とは男がやるものだみたいのは、あと、機械の修理とかもそうかなと思うんですけど。だから、この辺の話ってすごい難しくて、90年代半ばから家庭科って共修化したんですね。女と男を混ぜてやる。それまでは、男は技術とか武道、女の子は家庭かやってたんですけど。

ブルボンヌ : 私その世代だったので、なんか、あのね、女子達がやるお料理とかうらやましい、なんで私のこぎりとか使ってんだろうって思ってましたよ。

田中さん : はい、僕もトランジスタラジオ作って、これ何なのかなって思ってたんですけど、ただ、今の子達は交ざってるじゃないですか。ただ、混ぜただけじゃ解決しないんだなって、すごい大学生の話聞いてて思うのは、結局男の子は、家庭科サボってたりして。

ブルボンヌ : あ、そうなの。

田中さん : 女子が結局、なんだかんだやってて、男の子は脇で遊んでましたとか。

ブルボンヌ : それはその場の空気で、こんなの俺たちのやることじゃないよな感と、女子は女子で率先してやってあげちゃう感みたいのがあるのかな。

田中さん : そうですね。だから、もう、既存のジェンダーの役割とかががちっとある中だと、混ぜただけだとなかなか。例えば保育士さんとかだと、男性が増えても、ここで書いてあるような、じゃあちょっと力仕事は、男の保育士さんにやってもらいましょうかとか。

ブルボンヌ : あ、現場の中でもそうなっていく。

田中さん : はい。例えば、サッカーは男の先生に教えてもらうかとかなっちゃうので。

ブルボンヌ : あー、なるほどね。ここ多分きちっと詰めてくと、多分男性ホルモンがもたらす筋力とかのざっくりした傾向とかは、多少差はあるかも知れないけど、でも個人差も大きいから、正確には、一人ずつ筋力チェックとかをして、あなた男だけどほんとに筋力弱いわねって人と、あら結構レスリング部女性並みにたくましいわねって人だったら、向いてること違うよねぐらいまで、目がいけば違うのかななんて思ったりするんですけどね。

田中さん : そうなんですよね、おっしゃる通りで、この男性ならではの生きづらさって、女性の生きづらさと表裏一体だと思うんですけど、あるいは、セクシュアルマイノリティの方の生きづらさとも重なっていると思うんですが、やっぱり人が2種類って言うのは設定に無理があるとおもうんですよね。

ブルボンヌ : ほんとだよね。

田中さん : 男と女って。あの評判の悪い血液型占いでさえ4種類あるのに。

ブルボンヌ : いやほんとだね。あれもさ、日本と韓国くらいらしいですよね、全世界で。

田中さん : 言いますよね。

ブルボンヌ : だけど、やたら日本では特に飲み会トークだと、あ、B型だから~とかって、すごいそれが理由だみたいに言われるもんね。おもしろい~。さっきの働き方で言っても、フルタイムびっちり働くみたいなのは、やっぱどうしても男性で、社会的に育児とか、上の世代の方の介護とかが家庭で発生すると、どうしても女性側の方が一旦じゃあ抜けて家に、みたいなのも根強いですよね。

田中さん : 根強いっすね。

ブルボンヌ : それは男性側からすると、もしかしたら自分が、むしろ家のこと得意かもって思ってる人でも、会社側に残らなければいけないっていうののプレッシャーを抱えていることになるのかな。

田中さん : えーっと、両面ある気がして。もちろん、やっぱり、まだまだ男性が子どもを理由に、休むことを認めない職場って言うのが、たくさんある。これは、まだ認めないといけないんですけど。それ以前に、やっぱり男性の意識の問題もあると思って。例えば、うちの子ども小学生になって、PTAってあるじゃないですか。平日の昼間に会って、こないだ行ったら、うちのクラスできたお父さん僕だけだったんですよ。

ブルボンヌ : あー、そう。

田中さん : で、あーやっぱり、さっき僕が行った、まだ会社がね、手放してくれないのかなって思ったら、今度また平日の昼間に、お父さんお母さん来て良いですよって言うドッチボール大会があったんですよ。みんなお父さん来てて。来れんじゃんって。

ブルボンヌ : え!!?空いてんじゃん!

田中さん : そう(笑)。ようは、PTAって、言い方難しいっすけど、めっちゃつまんないんですよ。そういうつまんない用事だったらママ行ってよみたいな感じで、ドッチボール大会なんか楽しそうだね、ちょっとじゃあ半休とって行くかみたいな。

ブルボンヌ : じゃあやっぱお父さん達も、今の話だとよく言う、男性っていつまでも男の子ねみたいな、ドッチボールなら行くみたいな、話し合いはちょっとみたいな、感じになっちゃってるんだ。

田中さん : そうですね、つまりなんかめんどくさいことは女性任せっていうのがあるのかなって思いますね。

ブルボンヌ : あら~、ちょっとね〜。。とはいえ、会社でホモソーシャルな上司との付き合いとかもきっとめんどくさいだろうから。

田中さん : もちろんそうですね。

ブルボンヌ : 違うめんどくささは背負ってるんだろうけど、よりなんか家庭に紐付くようなめんどくささは女性のものみたいなイメージがまだ残ってるのかもしれないね。で、そういう、色々な細かいことも含めて、最終的には人に弱音を吐けないみたいなところが、男性社会のほんとのしんどさではないかって田中さんも書いてらっしゃると思うんですけど。

田中さん : そうですね、その、自殺対策基本法ができて調査とかをしたときに、人に悩みを相談するのがはばかられるって思う割合が、中高年男性が高くて。例えば、自殺対策っていったら、第一歩って相談なんですけど、それができないような人がいるっていう話があって。

ブルボンヌ : そっか。ガス抜きができなくて、どんどんしんどさがたまっていきやすいのが男性なんですね。

田中さん : そうですね。で、これは2点問題があるともうんですけど。1点はもちろん男性が、男らしさに縛られてる、男は弱音吐いちゃいけないって思われてて、真に受けてはけないって言う問題もあると思うんですけど、周りの聴く人ががっかりしないできけるかって言う問題もあって。なんか、立派なって思われているような人が、突然、なんか会社行きたくないってなった時に、えってなっちゃわないかなっていう、なんかある種のカミングアウトじゃないですけど、つまり働くっていうのがこのぐらい当たり前に思われてる社会の中で、例えば働くのがしんどいとか、この役割は自分には重すぎるとか、その男らしさに関する弱音が出てきたときに、聞き慣れないっていうのはあると思うんですけど、一瞬ぎょっとしちゃったりすると、相手もますます話す気がなくなちゃうので。

ブルボンヌ : うーん、まさにその相談みたいなことでいうと、ゲイバー女装バーみたいなこういうキャラクターって、女子達は当たり前のように、ねえ聴いて~みたいに、同じ女子だとマウンティングもあったりする中で、全然別物だけどなんか言ってくれそうな私たちに聴いてくるんだけど、同じことをしてくる男性客ってほとんどいないんですよ。

田中さん : そうなんですよね~。

ブルボンヌ : で、逆に、男女のペアだと男子の方が、こいつ悩みあるんで聴いてやって下さいよみたいな言い方で、誘導するシーンは何度もみたんですよね。その辺に、今おっしゃった、男性って言うのは本当に弱みを見せづらい生き物なんだなっていうのを感じますね。

田中さん : そうですね。これって、かなり初期から封じられてて、子ども育ててると実感したのは、やっぱり周りの親で、子どもが転んで泣いてるときに、男の子だから、なんだから泣くんじゃないって言う親ってまだいるんですよ、全然。

ブルボンヌ : あ、そう~。やだもう、私たちがやられてきたやつよね〜。

田中さん : で、そうするとかなりちっちゃいうちから、その痛いとか悲しいとかを表に出さない訓練しちゃうから、大人になったときにもう言語化できないんじゃないかなって気もしちゃうんですよね。

ブルボンヌ : ね、そこでなんで男の子だからなんだって悔しく思う。別にね、女子も男子も泣く子と泣かない子両方いればいいんだけど、なんか、お父さんは泣く子は男女問わず嫌いだとかね、だったらあーってなりますけどね(笑)。

田中さん : わかりますよね(笑)。

ブルボンヌ : そこに、男の子だからをつけられると悔しいのよね。でもそうやって、多くの人が、この時代も、今でもそれをすり込まれてるんだね。

田中さん : はい、と思います。

ブルボンヌ : 男性ならではのいきずらさって向き合うには、どの辺が重要ですかね。

田中さん : これはですね一つには男性だから抱える悩みってのがあるってことに築くことだとおもうんすよね。つまり、男という性別が自分にどんな影響を与えてるんだろうっていう視点を持つと、第一歩かなと思います。

ブルボンヌ : ああ、そこですよね、やっぱり。当たり前だと思ってることの当たり前を疑ったり、その当たり前がどういう仕組みで自分影響を及ぼしているのかってことって、躓きとか疑いとか明確な層だったウーマンリブがあった頃の女性とか、90年代ぐらいから言葉を発しだしたLGBT層とかは、やっぱり明らかに嫌ないわれ方とか、まあ、押さえつけられるっていう体験をしたから、反発心があったんですけど、多分今までの話からすると、男性は、押さえつけられるというよりは、もっと頑張れ、もっと強くあれ、だから、ある意味応援されているような気持ちにもなる。

田中さん : そうなんですよね。

ブルボンヌ : そうするとそれに答えられない自分が悪いみたいに思っちゃう、弱いみたいに思っちゃうのかもしれないから、それは構造としては気づきにくいかもね。

田中さん : あ、そうですね。すごく、おっしゃる通りだと思います。

ブルボンヌ : まあ。気づいて(笑)。ほんとに、ね、救うみたいな意味でも、ほんとに気づいてくださる男性が増えるといいですよね。


いかがだったでしょうか。

今週のFind Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDEでは、~についてお話をしていただきました。

今回のお話を聴いて、竹田ダニエルさんから著書「#Z世代的価値観」について紹介していただき、田中俊之さんからは「男性学」についてお話をしていただきました。

筆者の僕自身が、Z世代で男性ということもあり、とても他人事にはできないお話ばかりでした。世代を分けたり、性別に当てはめたりするなど、ラベルを貼って話すのって、聴いてると嫌だなって思うこともあれば、すごいおもしろく感じたり、なぜか納得したりするときもあります。。

きっと、ラベルをなくしたりするのではなくて、そのラベルにあてはまらない人もいる、それも素敵だなって思えるような考え方が、現代にはあってるんじゃないかなと思いました。

今回の放送が、皆さんにとって「自分らしく」いられるきっかけになっていると嬉しいです。

また次回もお楽しみに♪

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