〈3/2放送〉ゲスト:矢島由佳子(ライター) | 木本奏太(YouTuber、映像クリエイター)
InterfmとTOKYO RAINBOW PRIDEがタッグを組み、ダイバーシティ、多様性のある社会が叫ばれる中で、毎回取り上げる様々なトピックスやゲストの方との会話を通し、まだまだ残る、様々な問題を可視化し、本当の意味での多様性と、愛のある社会を目指していく番組「Find Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDE」。
3/3(土)のゲストは、 ライターの矢島由佳子さんが「心が弱っている時に寄り添ってくれる音楽」をご紹介!
そして後半は、トランスジェンダー当事者として発信しているYouTuber、映像クリエイターの「かなたいむ。」こと、木本奏太さんをお迎えします。
レインボートピックス
世界中から集めた最新のニュースから、話題のイベント、映画、音楽、お店など、多様性のある社会に気づける、理解を深められる、参加できる、そんな様々なトピックスを取り上げて、紹介する「RAINBOW TOPICS」。
今週は、ライターの矢島由佳子さんが「心が弱っている時に寄り添ってくれる音楽」をご紹介いただきました。
1曲目:UMIの『happr im』
UMIさん自身もクィアと公表しており、かつ、日本人とアメリカ人のダブルとしてアメリカで生活しているアーティストの楽曲です。
UMIさん自身が、愛から逃げていると感じたときに作られ、自分も含めてみんな幸せになることを恐れなくてもいいというメッセージが込められている楽曲です。
2曲目:Q.I.Sの『私を取り戻す為のうた』
Q.I.Sは、活動休止中の三人組ロックバンドthe peggiesのボーカルの北澤ゆうほさんのソロプロジェクト。
この楽曲は、北澤ゆうほさんが失恋をしたことをきっかけに作られた。最初はベッドルームポップスのようなサウンドから始まり、テープを巻き戻す音をきっかけに、後半では過去を美化せず、過去と真っ正面から向き合うことで感じる怒りやむかつきを表現しているような楽曲です。
3曲目:TAILの『Fundus』
TAILは、Self Loveなどについて発信をしていたアーティストの向井太一さんです。この楽曲は、活動名をTAILに変更した際のファーストシングルです。
Fundusは、「からだの奥の方」を表現している言葉で、表情ではなくその奥にある感情をさらけ出すことを表現しているような楽曲です。
THINK ABOUT THE FUTURE
様々な価値観を共有し、よりよい社会の方向性を模索していくゲストコーナー、「THINK ABOUT THE FUTURE」。
今週のゲストは、トランスジェンダー当事者として発信しているYouTuber、映像クリエイターの「かなたいむ。」こと、木本奏太さんをお迎えし、性の違和感を感じ始めたきっかけや、性別適合手術を受けるまでの思いなどについてお話していただきました。
この記事の中では、自分自身の性に違和感を感じ家族へカミングアウトするまでのお話を抜粋します。
性に違和感を感じ家族へカミングアウトするまでのお話
ブルボンヌ :いつ頃から、自分自身の中で違和感とか人との違いとかって感じ始めたの?
奏太さん :最初の違和感でいうと、2,3歳のころから周りと少し違うんじゃないかなと感じていましたね。
ブルボンヌ :2,3歳で他の子と何か違うって思ってたんだ。
奏太さん :当時、保育園に通っていたんですけど、女の子男の子って分かれる機会が多く、僕に割り当てられた性が女性なので、女の子に割りあれることが多くて。
ブルボンヌ :「女の子こっち来て~」みたいなね。
奏太さん :そうなんです。めちゃくちゃジェンダーステレオタイプになりますけれど、女の子はスカート履きなさいとか、ピンクのものを着なさいみたいな。
ブルボンヌ :あてがってきちゃったりするよね。
奏太さん :当時は男の子と女の子を分ける線引きみたいなものを感じていて、「ぼくこっちじゃないのにな~」という違和感はずっと感じてました。両親に聞くと、その頃からピンクとかスカートを着ると、泣いて泣いて泣き止まなかったみたいです。
ブルボンヌ :よく性的嗜好や好きになる性がマイノリティ性だって人は、その感情が強く出やすいから、気づくのが思春期のタイミングだったという人が多いんだけど、性自認、自分の性に関してで言うと、2歳3歳で自分で嫌だって思うことがいっぱいあったんだね。
奏太さん :それが、自分の性別、性自認が男性だからこう思ってるんだっていう言語化までは至らず、なんか嫌だな、なんか違うなって言う感じでしたね。
ブルボンヌ :でも逆に2,3歳だけど世の中が女子と言われるものにこういう色を当てていて、自分は違うんだって言うことをちゃんと肌で感じたってことだもんね。
奏太さん :言葉では言い表せなくて、感覚。好き嫌いとか、快と不快で判断していたように思いますね。
ブルボンヌ :その後どんな感じで変化したり、折り合いをつけていくものなの?
奏太さん :この後、色々悩むんですけど、思春期に入ってくると、やっぱり恋愛の話しってどうしても出てくると思うんですね。
ブルボンヌ :ね、友達どうして話してても、誰が好き?みたいな話ししちゃうもんね。
奏太さん :世間一般的には、男の子は女の子、女の子とは男の子を好きになるって言うのが当たり前だったので、僕もそれに合わせなきゃって言う気持ちでした。僕はそれと同時に自分の恋愛対象が女性だと気づいたんですけれど、自分のジェンダー、性自認に悩んでたので、自分が女性として女性が好きなのか、男性として女性が好きなのか、ここの言語化も全くできなくて。でも、女の子として女の子が好きなわけではないなってことに、徐々に気づき始めていきましたね。
ブルボンヌ :じゃあ、自分自身が女の子の枠に入れられることへの違和感とかも感じつつ、今度は自然にやっぱり思春期で好きになる性に対して悩んだんだね。クラスの同級生とかだった?
奏太さん :クラスの同級生だったと思います。
ブルボンヌ :一緒、一緒。身近にいる素敵な人に目が行くじゃない。自分は男性として男性で良いんだと思うんだけど、好きになる相手は同性で。かなたくんは当時だと、同性ってことにされるかもしれないけれど、今の感覚で言ったら、異性が好きだった感覚なんだよね。
自分の性の問題も、好きになる性の問題も、あれあれって思いながらも人には絶対言えないって感じ?
奏太さん :言えなかったですね。どうしても当たり前と言われるものから外れてしまうと、変な目を向けられてしまう瞬間が幼い頃からあって。僕、両親は耳が聞こえないんです。
ブルボンヌ :映画にもなった『コーダ あいうのうた』のコーダの立場なんだね。ご両親が聞こえない方で、聞こえる子どもさんの立場なんだよね。
奏太さん :日常会話は手話でお話しをすることが多いんですけど、そのときの周りの目線って言うのを小さい頃から感じていて、人と違うことってこんなに見られなきゃいけないのかなとか。
ブルボンヌ :そっか~。
奏太さん :「かわいそうだね」って言われることがすごく多かったんですよね。だから人と違うことってかわいそうなことなのかなって幼いときから感じてたことから、自分のジェンダーへの違和感は人に話しちゃいけないんだろうなって感じていました。
ブルボンヌ :「頑張ってるね」とかだったら理解できるけど、、「かわいそう」ってすごい見下しているように感じるよね。
奏太さん :幼い頃はそのまま受け取っちゃうので、だんだん自分の色んなことを人に話すのが苦手になってきましたね。
ブルボンヌ :じゃあ一時期は、ダブルマイノリティみたいなところも含めて、「自分が普通じゃない」みたいな悪い方向に考えていたわけね。
そんな気持ちから、どうやって前向きに変化していったの?
奏太さん :高校生のときに、トランスジェンダー男性を描いているドラマが放送されていて、当時でいう性同一性障害。今だと、性別違和、性別不合っていう言葉を知ったときに、「自分これだー!」っていうのがピンときたんですよ。自分の違和感に初めて言葉がついたのですごいスッキリして、自分が何者なのかっていうのが、区切りとして分かったことで、前に向けるようにはなったんです。自分の周りに何かが変わるわけではないので、そこからも色々な壁がありました。。
ブルボンヌ :耳の聞こえないお母様の存在って大きいと思うんだけど、やっぱり受け入れてもらうってことのハードルは大きかったんじゃない?
奏太さん :はい。ちょうど大学生4年生のときに母に初めてカミングアウトしたんですけど、やっぱり初めは受け入れてはもらえなくて。
ブルボンヌ :手話で伝えたの?
奏太さん :それができなくて。LGBTQ+っていう手話も知らないし、トランスジェンダーって言う手話も知らなかったので、お手紙気持ちを素直に伝えたんですけど、自分の子どもがそうだとは思えないと受け入れてもらえなくて。初めはとりあえずわかったという感じだったんですけど、母がそれをきっかけに色々考えてくれて、自分が耳が聞こえないという障がいから、この社会を生きていく上で人と違うことで、阻害されてしまっていた部分がたくさんあったとという経験から、あなたが人と違うからって言って否定したりとか拒否したりすることは、私の信念には反していると言ってくれました。その後、母が耳の聞こえない人たちのLGBT+のコミュニティに足を運んでくれて、そこで自分の知ってるコミュニティ内でもLGBTQ+の人たちがいるって知ったときに、ほんとに身近にいる存在なんだって分かって貰えて、少しずつ歩み寄っていった感じです。
ブルボンヌ :わ~、素敵なお母さん。ご自身にそういう受け入れる知識の受け皿がないと最初は面食らっちゃう方多いかもしれないけれど、そこで自分自身もマイノリティで、かつそれを分かってくれない人の言葉で嫌な思いした経験が繋いでくれたってことだよね。ある意味障がいをお持ちのお母さんだからこそ、踏みとどまって理解出来ないって突っぱねてしまう、悲しい関係になってしまうこともたまにあったりするけど、そうじゃなかったっていうのはある意味良かったってことよね。
奏太さん :そうですね、ほんとに良かったって思いますね。
ブルボンヌ :でもダブルマイノリティなところが、かなたくんをより深い人にしてるのかなって話を伺ってて思ったんだけど。
奏太さん :ありがとうございます(笑)
いかがだったでしょうか。
今週のFind Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDEでは、ライターの矢島由佳子さんが「心が弱っている時に寄り添ってくれる音楽」をご紹介いただき、トランスジェンダー当事者として発信しているYouTuber、映像クリエイターの「かなたいむ。」こと、木本奏太さんをお迎えし、性の違和感を感じ始めたきっかけや、性別適合手術を受けるまでの思いなどについてお話をしていただきました。
今回のお話しから、気持ちの持ち方がとっても大切なんだなと思いました。考え方も人ぞれぞれの中で、悲しい出来事や他の人の考え方をどう受け取るのか、また経験や考え方による気持ちの持ち方によって変わっていくんだろうなと感じました。
受け入れられないことを受け入れる努力をしたり、知らないことを知ろうとすることはとっても大切なんだなと感じました。
今回の放送が、皆さんにとって「自分らしく」いられるきっかけになっていると嬉しいです。
また次回もお楽しみに♪
3月2日のTHINK ABOUT THE FUTUREは、AuDeeにて配信しています。
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