<5/25放送>ゲスト:エム・リナ(2丁目DJバーオーナー&ママ・作曲家)
InterfmとTOKYO RAINBOW PRIDEがタッグを組み、ダイバーシティ、多様性のある社会が叫ばれる中で、毎回取り上げる様々なトピックスやゲストの方との会話を通し、まだまだ残る、様々な問題を可視化し、本当の意味での多様性と、愛のある社会を目指していく番組「Find Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDE」。
5/25(土)のゲストは、LGBTQ+インクルーシブディレクターのミヤタ廉さん。後半は、エム・リナさんをお迎えします!
今回はTHINK ABOUT THE FUTUREのゲスト、エム・リナさんとのトークをお届けします。
THINK ABOUT THE FUTURE
様々な価値観を共有し、よりよい社会の方向性を模索していくゲストコーナー、「THINK ABOUT THE FUTURE」。
今回は、新宿2丁目のDJバー、みらいLOUNGEのオーナー兼ママでありながら、数多くの有名アーティストの楽曲を手がけるエム・リナさんをゲストにお迎えします。
この記事では、エム・リナさんご自身のセクシュアリティやジェンダーへの気づきについてのエピソードをご紹介します。
ブルボンヌ:そんなエム・リナさんがここの場に来てくれるということで、人生、深掘りさせていただきたいと思います。多分同世代というか、私よりちょっと下くらいのお年だと思うのですが、セクシュアリティについてご自身で自覚されたのは割と最近だそうですね。
エム・リナ:そうなんですよ。ほんとに音楽活動とかは普通に男性の姿で、しかもヒップホップだったのでキャップ被ってより男性的なTheビーボーイって感じでやってたんですけど。
ブルボンヌ:今日はとっても素敵な、世の中が思う”レディ”な感じですよね。
エム・リナ:ありがとうございます。だからこのエム・リナになったのはここ5、6年の話なんです。
ブルボンヌ:あ、そうなんですか。私たちよく昔の話をすると、本当は心の中で同性の子が好きだったとか、逆にトランスの方だと女性の格好をしたかったって思いを押し殺してたみたいな話ってよく出てくるけど、エム・リナさんはそういう疑問みたいなのはなかったの?
エム・リナ:今になって思い返すと、小さい頃、5歳とか6歳とかほんとそれぐらいの時に、お母さんの化粧品でメイクの真似事したりとか、妹がいるんですけど、妹の服着てみたりとか、そういうことしてた子だったんですよね。
ブルボンヌ:そうなんだ。今、いわゆる「お姉さん全開」なゲイの方がよく幼少期の話で出てくる話ですよね。
エム・リナ:そうなんですけど、中学くらいまではそんな感じあったんですよ。中学くらいで男子はすね毛が生えてくるじゃないですか。それがすごい嫌で。自分にすね毛が生えるのがすごく嫌で毎回剃ってたりとか、中学くらいまではしてたんですけど、思春期迎えたら普通に女性が好きで。
ブルボンヌ:あ、じゃあ恋愛は無理するとかカモフラージュするとかではなく、女性が好きだったんですね。
エム・リナ:そうなんです。高校生の時は男子校だったので、彼女欲しいとか童貞捨てたいみたいな(笑)
ブルボンヌ:一般的な男子ですね。じゃあ子どもの頃ちょっとそういう要素もあったけど、その後はご自身の中でも一般男子感覚だったんですね。
エム・リナ:そうなんです。だから思春期は全く悩まずに、小さい頃のこともどっかに忘れてて。そのまま思春期からずっともう最近まで普通に女性ともお付き合いしてました。
ブルボンヌ:その間も全く自分の中にビジュアルの表現にせよ、恋愛の対象にせよもう全てがストレートシス男性みたいな感覚だったんですね。
エム・リナ:感覚はそうだったんですけど、やっぱり根本は5歳6歳の時の自分があるから根本はそうじゃない。特にヒップホップの世界にいたので、THE男社会で。
ブルボンヌ:ヒップホップってよく世の中的にもいわゆるゲイ的なものを嫌いみたいなイメージがある音楽シーンですよね。
エム・リナ:あれはなんでかというと、レゲエからきてるんですよね。レゲエはラスタファリズムからきていて、ラスタファリズムって髪を切っちゃいけないというか、髪に刃物を当てちゃいけないとかで。
ブルボンヌ:レゲエの方が髪結ってるのってだからなんだ!
エム・リナ:そうなんです。そのラスタファリズムという教えの中でレゲエという音楽をやってるので、ジャマイカの人たちは。そのラスタファリズムの教えの中に、同性愛をダメだという教えがあって、ヒップホップもレゲエの子孫みたいなものなので、その流れだと思うんですよね。
ブルボンヌ:でも、当時はエム・リナさんの中でも、そんなにそれが出てくることもなかったってこと?
エム・リナ:でもなくはなくて…。例えばヒップホップの中でもKICK THE CAN CREWとか、仲の良かったRIP SLYMEとかケツメイシとか、その辺は同期で。
ブルボンヌ:今お名前出してくださった方達はあんまり嫌ってるイメージないですよね。割と2丁目も来てくださったんですよ、RIP SLYMEさんとか。
エム・リナ:そうなんですよ。なのでヒップホップの中でも私がいたところって割とヒップホップの中で不良じゃないというか、楽しくパーティー乗りでみんなでわーわーやろうよっていうヒップホップだったので。多分私はそういう”男男”してるのがあまり好きじゃなかったから、でもヒップホップが好きだから、というとこでRIP SLYMEとかがすごくシンパシーをを感じたんだと思います。
ブルボンヌ:ヒップホップ中でもちょっと優しそうなゾーンにいらしたんですね。
エム・リナ:そうですね。とは言えやっぱりヒップホップって縦社会なので、結構先輩からいびられたりとか。
ブルボンヌ:エム・リナさんの柔らかい部分をつつかれちゃったりちゃったりとか?
エム・リナ:そういうところはありましたね。どうしてもやっぱり体もちっちゃかったし、華奢だったので…全然鍛えても筋肉つかないし、その頃はすごいコンプレックスだったんですよね。華奢な自分とか。
ブルボンヌ:そんな大変な環境だったところから、どんなお気持ちとかきっかけがあって、今のより自分らしい表現に変わっていったんですか?
エム・リナ:多分自分で気づかなかっただけで、好みとか指向性はオネエ系って言われるようなものが元から好きだったんでしょうね。最初ヒップホップ(ラップ)しか作ったことがなかったんですけど、途中でヒップホップだけじゃ仕事の幅が広がらないなぁと思って、音楽理論とかコードとか勉強して、そこから歌物も手がけるようになって。だから新しい学校のリーダーズとかやって、アイドル系の女の子の曲もかくようになって。
ブルボンヌ:オネェカルチャーに近づいてきてるじゃないですか(笑)
エム・リナ:そうなんですけど、私メロとアレンジしかやらないので、作詞はしないんですよ。なので大体そういう時は作詞家の人とペアで仕事するんですけど、いろんな人とやってるうちに1人トランスジェンダーの作詞家さんとお仕事することがあって。
ブルボンヌ:ちょっと運命の出会いじゃないですか。
エム・リナ:その方はもう手術もして戸籍も変えて、女性として見た目も全然わからないし、ほんとに近い人にしか言ってないっていう方で、一緒に仕事するようになったら、めちゃめちゃ気が合って。好きなものとかも全部似ていて、仕事以外のプライベートもすごく仲良くなって、一緒に遊ぶようになって。その人と交流してるうちに、私もそういえば昔女の子の服着たりとか、そういうのしてた子だったなっていうのをそこで思い出したんですよね。
ブルボンヌ:幼少期の衝動がバババッと蘇ってきたんですね。そしたらその人にアドバイスしていただきながらちょっとビジュアルを変化させていったんですか?
エム・リナ:それがその人は、トランスってことすらも隠している方だったので、もう戸籍も変えてますし。そこで私が女装はじめるとか言ったらあんまりよく思わない感じがして言えなかったんです。でもそこで思い出しちゃったし、そこで衝動がすごいきて。しかもそれだけその人と気が合うってことは私もそっちなんじゃないかなと思って自分でこっそり1人で女装始めて。
ブルボンヌ:なんかちょっといい話!初めては、調べたりして必要なものを揃える感じで?
エム・リナ:そうそう、ネットで調べて、ドンキのパーティーコーナーでパーティーウィッグとコスメも見よう見まねでとりあえずファンデーションとリップだけ買ってみたいな感じで。
ブルボンヌ:そう、最初はパーティーグッズいきがちよね(笑)どうでした?最初の変身の感想は。
エム・リナ:女装始めたときは今より10キロ太ってたんですよ。それで自分の二の腕の太さに愕然として(笑)
ブルボンヌ:やっぱり女性向きの装いだと、思うところがね。
エム・リナ:それでこれは痩せなきゃと思って。でもそこですごい解放されたというか、「あ、なんか私これだ」みたいなのがありましたね。
ブルボンヌ:素敵!リリーのすべてっていう映画でも世界で最初に性別的適合手術をしたっていう触れ込みの方を描いた映画でも、初めてストッキングを履いたときも電気が走ったような気持ちになったみたいな表現があったりして。
エム・リナ:私は自撮りですね!女装してメイクした状態で、スマホで自分を自撮りしたときに、「え、全然違うちゃうじゃん!」っていう。女の子がいるわけですよ、カメラの中に。
ブルボンヌ:変身の魔力に取り憑かれた瞬間、素敵です!
~ご自身のセクシュアリティに気づいてから新宿二丁目でお店を出すまでのお話しはAuDeeにてぜひお聴きください!~
いかがだったでしょうか。
今回の放送が、皆さんにとって「自分らしく」いられるきっかけになっていると嬉しいです。
また次回もお楽しみに♪
5月25日のTHINK ABOUT THE FUTUREは、AuDeeにて配信しています。
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