<7/13放送>ゲスト:よしひろまさみち(映画ライター)|中村 中(シンガーソングライター、役者)
InterfmとTOKYO RAINBOW PRIDEがタッグを組み、ダイバーシティ、多様性のある社会が叫ばれる中で、毎回取り上げる様々なトピックスやゲストの方との会話を通し、まだまだ残る、様々な問題を可視化し、本当の意味での多様性と、愛のある社会を目指していく番組「Find Your Colors with TOKYO RAINBOW PRIDE」。
7/13(土)のゲストは、映画ライターのよしひろまさみちさんが番組視点で注目の映画をご紹介!後半は、先週に引き続きシンガーソングライターで役者の中村 中さんです。
レインボートピックス
世界中から集めた最新のニュースから、話題のイベント、映画、音楽、お店など、多様性のある社会に気づける、理解を深められる、参加できる、そんな様々なトピックスを取り上げて、紹介する「RAINBOW TOPICS」。
今週は、映画ライターのよしひろまさみちさんに、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが作成した『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』を紹介していただきます!
ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ
約30分ほどのショートムービーで、数々の映画祭で先行上映され大好評を受けている。
『ブロークバック・マウンテン』のアップデート版と言われる、1910年のアメリカの西部を舞台にしたカウボーイの映画。現代のクィア映画の流れを受けて、『ブロークバック・マウンテン』と同じ設定で作られた。
昔一緒に働いていた、2人の登場人物が25年ぶりに出会い、なぜそれだけ会わなかったのか、なぜ今会うことになったのかが描かれている物語。
ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ公式サイト
THINK ABOUT THE FUTURE
様々な価値観を共有し、よりよい社会の方向性を模索していくゲストコーナー、「THINK ABOUT THE FUTURE」。今週のゲストは、シンガーソングライターで役者の中村 中さんです。
今回は、選曲された『あいつはいつかのあなたかもしれない』についてお話しされた中でLGBTQ+に関する研修を受けた際に感じたことについてのお話を抜粋します。
研修を受けて感じたこと
ブルボンヌ :お送りしたのは中村 中さんで『あいつはいつかのあなたかもしれない』でした。これ、先ほどご紹介した『妙齢』のラストを飾る曲なのよね。
中さん :はい
ブルボンヌ :タイトルだけでドキッとするもん
中さん :そうだといいなと思って作りました。SNSとか使っていて、失敗してしまった人とか、悪気がないのに言い方が上手くなかった人、言い方が上手くないということも一体どこまで指摘してあげればいいんだろうとか。。難しいじゃないですか、完璧な人なんていないし。
ブルボンヌ :いないね。
中さん :今度、自分も失敗することなんて、もういっぱいあるから、私は。逆にね、すごいよってたかって指摘してる人たちって、そんなに自分が失敗しない自信があるのかなって思って。
ブルボンヌ :ほんとわかる。
中さん :ちょっと冷静決まっただけで言い方変わるのになって思って。そんなこと言いたくて、作った歌です。
ブルボンヌ :もちろんこういう番組が伝えてるテーマにおいては、そんな酷いことある?!っていう暴言っていっぱい世の中にあるんだけど、そこにものすごい数の人たちが、「お前なんて最低だ!」ってウワッて集まってる瞬間、そこにじゃあ美しさはあるのかっていうと、やっぱりそれも切なく悲しくなっちゃって。自分はたまたま恵まれた人たちに出会えたけど、その進む道が違ってた時は、これくらいに何か世の中を恨んだ人になってたかもなって本当に思う。
中さん :そうですよね、自分が何か誰かを指してしまうような立場になるかもしれないですもんね。ただ、私が望んでいるのは、行動できる人は誰かを助けられる人にもなれると思うから、そう信じてるよっていう歌です。
ブルボンヌ :いい歌!
中さん :ありがとうございます〜!
ブルボンヌ :そんな中ちゃんがお芝居でもお歌でも、社会とも触れ合ってきたと思うんだけど、この中で、あれちょっと違うなみたいに思うこともあるって伺ったので。
中さん :そうです。今回ブルさんにお世話になれるならこの話したいって思って。よくね、「何年前から比べると今は、セクシュアルマイノリティに対する理解が広がってきたんじゃないですか?」って質問されることすごく多くて。理解が進んでいるんだというふうに、言って欲しそうな人がたくさんいて。
ブルボンヌ :あ、質問者って答え決めてる人多いよね。
中さん :それはもちろん一部を見れば、受け入れられているとか、幸せな場面もあるけれど、それが一個あったら理解されてるって言い切っていいのって思うと、やっぱ言えないじゃないですか。ある時、芝居の仕事で、今、コンプライアンスとか気にして、ハラスメント講習とかLGBT講習とかっていうのかな、っていうのがあるんですよ。
ブルボンヌ :アタシも、近いものをやらせていただいたこともありますね。
中さん :ブルさんが、先生になってというか。
ブルボンヌ :そうそうそう。
中さん :作品の中でトランスジェンダーやレズビアンを扱う時に、間違った知識でその人を舞台上でいかさないようにっていう講習があるんですけど。その講習を受けてて、なんか結び目で気になるなって発言があったんですね。セクシュアルマイノリティの人を腫物のように扱わないで、なんでも聞いてください、何でも聞いてくれた方が嬉しいですからっていう結びだったんですよ。これ危ないかもなって思って。
ブルボンヌ :「私に」じゃなくて、講師の人はそういうのなんでも答えますよじゃなくて、いろんな当事者に対してなんでも聞いてって聞こえちゃう感じだったんだ?
中さん :聞こえちゃいますよね。
ブルボンヌ :それ危ないね。
中さん :私もそう聞こえたし、「これなんか…、まままあ大丈夫かな、嫌な予感するな」って(思っていた)。案の定現場で色々聞かれたんですよね。「中ちゃんってさ、いつ自分が男性じゃないな、自分が女性だって思ったの?」って聞かれたり。結構いろんなこと急に聞かれて、実はその人知り合いだったんですけど、知り合いの共演者が、普段そういうこと絶対に聞かなかったのに、初めて聞いた!と思って。
ブルボンヌ :まさに講習の結びの言葉が引導を渡しちゃった感じの流れだったんだ。
中さん :それで、「いや〜、話したくないけど」みたいなことを答えてて。ただ、勉強したいって気持ちがあったと思ったから、個別で答えたんですよ。それでその後飲みに行って「あの時ね答えなかったけど、ちょっとみんなの前で聞かれるのは困ったかな。」
ブルボンヌ :それだよね〜。
中さん :って話したら、最初にその子は、私が知る限りはストレートの男性なんだけど、「そうなるとさストレートの立場からだと、結構質問しずらいなって思う人いると思うんだけど」って言われたんですよ。いや、そうじゃなくて、たとえば自分の体のこととかさ、悩んでることとかをみんなの前で聞かれて、はずかしいって思うんだけどね、って言ったら「あ、なるほど、確かに」って何となく気づいてくれたみたいで。「確かに例えば自分病気であるとか、なんか悩んでることをみんなの前で聞かれたらそりゃあそうだよな」
ブルボンヌ :この人ならとか、このメンツならってことだもんね。
中さん :ありますよね、ここには社会があって。全員の前で言えるわけじゃないって思ってて。なんか、このことが最近増えてて、困ったことかな。
ブルボンヌ :そうね。本当に、そこは毎回、中さんと話してて、常に自分の戒め、引き締めにもなるなって思ってて。さっきの話だと、自分は、アタシはそれを背負った、覚悟すらキャラでやってるから、何でも、下ネタでもむしろ喜んで答えちゃうぞってやってるけど、それと他の人は別だよってことが、ちゃんと強調できてるかどうかは大きいなって思った
中さん :そうですね、講習の結びですよね。だから、ぜひ、「私は」ってのも付け加えて欲しいですし、これが作品のためだとは思うから、「個別にこのこと聞きたいんだけど聞いていい?」って質問してくれるだけで、「それは恥ずかしいから嫌です」「全然いいですよ」って言えるから。本当に、人前で聞かないだけで随分、違うじゃないかなって思ったのと、関係性ですね。
ブルボンヌ :そこだよね。
中さん :初共演で全然時間経ってないのに、聞いていいことではないと思うんですよ。それこそ、初対面なのに「自分はゲイの友達、トランスジェンダーの友達たくさんいるから、中ちゃんのこと理解できてると思います」っていうのも、すごく失礼だから。
ブルボンヌ :あれ、よく聞く枕詞だよね。。。
中さん :そうそうそう。でも、あなたが友達がたくさんいることは素晴らしいことだと思うけど、初めましてって感じだから、ここに関係性がないうちは、例えば応援したいっていう気持ちですら、失礼になる時もあるから、関係性が成り立ってないうちは難しいですよね。
ブルボンヌ :そうね、LGBT情報が伝わったことで、理解してもらえることは大体においてプラスだと思うんだけど、ちょっと前のめった気持ちを生み出してしまったところはあるよね。「私そういうのすごくよくわかってるよ」って。
中さん :それこそ、講習受けたから、経験したからっていうふうにね。気持ちはまあ、100%嬉しくないわけじゃないけど〜。
ブルボンヌ :そうなの、そこもね、グラデーションだよね。
中さん :なんかそういうことは、ある意味、質問される昔と今で、「理解が深まったんですか?」のカウンターとして、いろいろなところでセクシュアルマイノリティの情報を手に入れられるようになったから、変化したことですよね。
ブルボンヌ :なんでも、作用反作用じゃないけど、いい面とそこそこそうなるみたいな面とが、そうなるっていうのは、常に満足したらいけないってことよね。それを今回2週にわたって、中ちゃんから提示してくれたことにはすごく意味があると思う。
中さん :多分この番組は、講習をしようって、そのための勉強をしようって思って聞いてる人もいるんじゃないかなと思うんで。
ブルボンヌ :そうね、学ぼうって。でも、それ自体はとてもありがたいことだし、大多数は興味ねえよってことを知ってくれようとしてるんだからね。そこにある細かいことすら、この枠だったら、伝えていきたいことかもね。
いかがだったでしょうか。
今週は、映画ライターのよしひろまさみちさんが番組視点で注目の映画をご紹介していただき、後半は、先週に引き続きシンガーソングライターで役者の中村 中さんに、役者として活動をはじめてからのお話をしていただきました。
THINK ABOUT THE FUTUREの中で話されていた、「何年前から比べると今は、セクシュアルマイノリティに対する理解が広まってきたんじゃないですか」という記者からの質問は、とても考えさせられる質問だなと感じました。
多様性や個性とを尊重されているように感じることも増えましたが、それはあくまで色んな人の普通みたいなものが少しずつ広がっているだけ。それからあぶれてしまう人はいるし、まだ見たことのないものに少し抵抗感を持って攻撃したり拒絶したりしてしまう人がいて、それとぶつかる人もいることこそが、現代らしい部分なのかもしれないなと思いました。
今回の放送が、皆さんにとって「自分らしく」いられるきっかけになっていると嬉しいです。
また次回もお楽しみに♪
7月13日のTHINK ABOUT THE FUTUREは、AuDeeにて配信しています。
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