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お知らせ

一部報道について

平素より「東京レインボープライド(以下、TRP)」を応援いただき誠にありがとうございます。

2022年4月24日「ハフポスト日本版」にて掲載されました、「LGBTQ差別の企業の出展はおかしい」ゲイ当事者が『アクサ』と実行委に抗議【東京レインボープライド2022】と題した記事につきまして、当団体の見解をお示しいたします。

なお、上記記事に掲載された当団体の回答等は、事実と異なる部分が複数点ございました。今回の記事がLGBTQを取り巻く差別的な状況の中で、当事者の視点に立ち、孝則さん(仮名・呼称ともに記事内まま、以下同)の心情を汲み取った内容の記事であることは十分に理解をしております。ただ、事実と異なり誤解を招きかねない内容は訂正していただきたく、4月25日にハフポスト日本版編集部様宛にメールをお送りいたしました。訂正依頼内容に関しては別紙資料をご確認ください。

1、 警察への通報に関して
代々木公園では3年ぶりの開催となった「東京レインボープライド2022」(以下、TRP2022)の準備にあたり強化したのは新型コロナウィルス感染症拡大防止対策とテロ対策でした。新型コロナウィルス感染症拡大防止対策としては手指消毒やマスク着用、大声を出さない等のご協力を出展者、来場者の皆様へお願いしておりました。またテロ対策においては、プライバシーに配慮し詳細は控えさせていただきますが、TRP2022に対して事前に不審者からの入場予告があったため、あらかじめ警察に相談し、警備スタッフの増員、監視カメラの設置など万一に備えセキュリティ強化を行いました。

イベント2日目の23日(土)15時ころ、抗議の件を聞いたTRPスタッフが現場にかけつけたところ、出展企業ブース前で他の出展企業あるいは団体のリストバンドを着けた方(あとで孝則さんであることが分かりました)が抗議を行っておりました。出展者には参加申し込み手続の際、出展者間で起きたトラブル等につきましてTRPは介入できないことをあらかじめお伝えしておりました。そのため本件も介入予定はございませんでしたが、TRPスタッフがその場にいた参加者からの通報依頼を受ける事態となりました。TRPスタッフは数回にわたり孝則さんにお声がけいたしましたが、お名前や団体名についてお返事をいただくことができませんでした。先に述べた不審者からの入場予告の経緯もあり、テロ対策のため、スタッフには何か不安なことがあった場合はすぐ警察に連絡するよう事前周知していたこともあいまって、警察へと連絡いたしました。

正当な理由があり、かつ安全が確保される状態での抗議であれば止めるべきではありませんが、本件においては通報依頼を受けたことに加え、万一に備え、イベント参加者の皆様の安全を最優先に考えての判断となりました。したがいまして、一部SNS上で言われているような当事者の切実な訴えを企業に配慮して封じ込めるために通報したわけではございません。
しかしながら、当団体・スタッフとしては、LGBTQの権利回復を目指すイベント会場でLGBTQ当事者があげた声に対し配慮がなされていないという声が上がっていることを重く受け止めております。今回の件をスタッフ一同振り返り、改善に努めてまいりたいと存じます。

2、 出展基準に関して
当イベント出展者は近年一気に増加し、2012年に約20だった出展団体数は10年間で200を超えるまでになりました。出展基準については団体設立当初から変わらず、『当団体の活動目的、「LGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め『“性”と“生”の多様性』を祝福する」という、TRPの趣旨にご賛同いただけること、その他当団体所定のルールを遵守していていただける企業・団体』としております。
初出展いただく企業に対しては、ヒアリング等を行い、場合によってはご出展いただく前に研修実施をおすすめするなどの対応を行なっておりますが、実際にどこまでLGBTQフレンドリーであるかを細分化したチェック項目等は現状設けてございません。
日本企業のLGBTQに対する取り組みはまだ始まったばかりといえる状況です。現時点では基準を設け出展のハードルを上げるよりも、(趣旨にご賛同いただいた上で)まずはTRPに参加することで、社員の方がLGBTQにふれ合い、意識を高め、社内での取り組み促進につなげていただきたいという思いから基準は設けておりませんでした。

実際に、これまでTRPをスポンサードしてくださった企業で、初出展時はひとつもLGBTQの取り組みがなかった企業もございました。しかし、出展を重ねるごとに社内外の取り組みが進み、今ではアライ(※)企業として積極的に取り組みを行なっている事例もございます。(※LGBTQなどマイノリティの人々の味方でありたいと考え、支援、行動する人)
TRPにご出展いただく企業の多くはまだ社内啓発を主たる目的としてご出展されることが多いのが現状です。社内外の取り組みが完璧になることが理想ではございますが、その理想に近づくためにもTRPという場を通し多様な性や価値観に触れ、理解の促進につなげていただきたいと考えております。

また記事の中ではブースの位置についてもご指摘いただいておりましたが、出展者は、LGBTQ当事者が中心となって啓発活動を行う非営利団体から、中小企業・大企業まで非常に幅広い団体・企業の皆様です。出展費用に関しては非営利団体がより出展しやすいよう、営利団体との金額に差をつけておりますが、ブースの配置に関しては出展費用の金額のみで決定しているわけではございません。
例えば、「LGBTQコミュニティブースでは人目を気にせずゆっくり相談できるようにしてほしい」といった当事者の切実な声にも配慮しながら、出展カテゴリーや出展数、会場面積など、さまざまな条件を総合的に検討し判断しております。

さらに、今回の記事にあったTRPが商業化しすぎているのではないかというご指摘は、今回に限らずここ数年各所よりいただいており、非常に大事な問題提起であると受け止めております。LGBTQの権利回復を目指す団体が当事者をないがしろにして商業化することは決してあってはなりません。一方で、TRPは多様な誰もが平等に参加できるよう、プライドイベントの参加費をいただかない形で運営しております。
そのため、サポートいただく個人・団体・企業の皆様の存在がなければ、今の形のプライドイベントを続けていくことはできません。
誰もがご参加いただける無料イベントを安全・安心の中で継続的に行うため、どのように費用を工面するかは、理想と現実の間で常に葛藤を続けています。ご指摘を受けている様々な問題に対し、当団体内であらためて協議を行い、改善に努めて参ります。

最後に、今回の一件で、日頃よりTRPを応援いただいている皆さまにご心配をおかけしてしまう形となり、大変申し訳ございませんでした。
何よりもLGBTQ(性的マイノリティ)が生きやすい社会や、平等・公正の実現のために行なっているTRPの活動が、当事者の皆さまに対して暴力的に見えてしまったり、行き過ぎた商業化と見られてしまったことは、当団体・スタッフ一同にとって非常に残念なことであり、至らない点と受け止めております。今後の大きな課題として真摯に検討してまいります。

特に昨今では、イベント会場にお子さま連れや10代、20代の学生も増え、当日のボランティアも若い世代が増えてまいりました。次世代のためにも「らしく、たのしく、ほこらしく」、多様な誰もがより自分らしく、前向きに暮らしていくことができる社会の実現に向けてより一層邁進する所存です。
是非、今後ともTRPを応援していただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

2022年4月27日
特定非営利活動法人 東京レインボープライド
共同代表理事 杉山文野 山田なつみ

(別紙資料)

2022年5月2日更新

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