共同代表理事の退任にあたって

共同代表理事の退任にあたって

「特定非営利活動法人 東京レインボープライド」の年度が改まる2019年9月30日から10月1日に日付が変わるのに合わせ、そう、ちょうど消費税が8%から10%に増税されるそのタイミングで、わたくし山縣真矢は弊団体の共同代表理事の任を退くことになりました。

 思い起こせば、任意団体「東京レインボープライド(TRP)」を設立したのが2011年5月。東日本大震災の2カ月後でした。翌2012年4月にTRPとして初回となるプライドパレードを実施し(初回は赤字だった…)、同年9月に団体の代表となり、2015年8月には特定非営利活動法人(NPO法人)となったTRPの共同代表理事に、杉山文野とともに就任しました。TRPに関わって8年以上の歳月が流れました。

 この間に、パレード参加人数は約10倍、総動員数約45倍、予算規模約20倍と、「LGBTブーム」も相俟って、TRPは大きく大きくスケールアップしてきました。そんな中でも、今思えば2015年が転機だったのかなと思います。TRPとして初めて代々木公園でのフェスティバルを2日間開催にして飲食ブースを展開し、渋谷区・世田谷区の同性パートナーシップ証明制度の実施というトピックもあり、動員数が一気に増え、NPO法人の認可を取ることができたのが2015年でした。まさに、大きな波に乗った年でした。

 個人的にも、2015年はとても感慨深いものでした。東京のプライドパレードは、今から25年前、1994年にスタートしたのですが、その後、さまざまな要因で、「3年連続して開催したら中断」という経験を3度も繰り返します。つまり、4年目が鬼門なのか、これまで4年続いたことがなかったわけです。私は2002年の『東京レズビアン&ゲイパレード』から東京のプライドパレードの運営に携わり始めたのですが、結果、その「中断」を2度、経験することになりました。そういう過去もあり、TRPを立ち上げるときの大きな課題の一つとして掲げていたのが、「毎年安定してパレードを開催すること」でした。そのためにも、4年目のジンクスを乗り越えることは、私自身、心に秘めた目標でもありました。それを成し遂げることができたのが、2015年だったのです。大きな山を一つ越えたような、達成感と安堵を覚えました。

 NPO法人になった2015年以降、運営メンバーも少しずつ固定されるようになり、20代30代の若い力も加わって、TRPは順調に歩みを進めてきています。今春の『TRP2019』では、初めてパレード参加人数が1万人を超え、総動員は20万人を記録しました。6月にはストーンウォール50周年となるニューヨーク・シティ・プライドのマーチに、TRPとしてフロートを出展し、日本の仲間たちとともに深夜のNYを行進することができました。大きな夢が一つ、実現できました。

 そろそろタイミングだな。50歳をとうに過ぎた私は、代表理事として4年目となる今年度、次の世代にバトンを渡すことを決意しました。

 そもそも「代表」という柄でも器でもないことは重々承知していた私ではありますが、巡り巡って辺りを見まわせば、「私がやるしかないか」と覚悟を決めた7年前。思い返せば、この間、辛いことや頭を悩ませることの連続でした。大きな不安や孤独、プレッシャーもありました。それでもこうして、代表という重責を曲がりなりにも全うすることができたのは、TRPのメンバーをはじめ、共に活動してきたたくさんの仲間たちあってこそであり、さまざまな形で支援・協力をしてくださったすべての方たちのおかげだと思っています。そして何より、パレード参加者たちの笑顔、笑顔、笑顔。これはもう、麻薬です。いくら辛くても、もうやめたいと思っても、あのたくさんの笑顔を目の当たりにしまうと、途端に元気がみなぎって、また来年も、となってしまう……。そんなこんなで、気がついたら、パレードの運営に17年も携わってきてしまいました (苦笑)。

 次年度からは、副代表理事の山田なつみが共同代表理事に就任し、杉山とともにTRPの顔として団体を牽引することになります。「器が人を育てる」と言います。「代表」という器に私も大いに育てられました。山田もこれから、「代表」という器に育てられていくと期待しています。

 新たに代表理事に就任した山田、そして引き続き代表理事を務める杉山の、このTRPの共同代表理事両名とともに、NPO法人東京レインボープライド に対し、今後とも変わらぬご指導ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 私は今年度で代表理事を退任しますが、今後も「顧問」兼「理事」として、TRPの活動に携わっていきます。「TRPのおとうさん」として、包み込むようにTRPを支えていければと思っています。そして、同性婚の実現やLGBTへの差別の解消など、日本のLGBTが抱えるさまざまな課題を解決していけるよう、これまでの経験を生かし、らしく、たのしく、ほこらしく、このムーブメントの前進に少しでも貢献できるよう努めていく所存です。

 これまで私を支えてくださったすべての方たちに、この場を借りて感謝の意をお伝えするとともに、今後ともご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 共に闘っていきましょう。
 Happy Pride!

2019年9月30日
特定非営利活動法人 東京レインボープライド
共同代表理事 山縣真矢